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異棲人来訪ス




まず皆様にイヤなお知らせをしなくてはなりません。


このお話は一定した視点が無く、多人数の証言者の証言により構成されています。
その為話の節々に於いて各個人における主観や思想が入り混じり
前後で話が噛み合わなかったり前後したり混乱したり、挙句の果てには
太陽系の果ての果てでオールトの雲に首を吊りに迷い込む様な内容になりかねないけど
私はその話の内容に一切関知することができないのです。

だってめんどくさいんだものー。

まあそんな事はどうでもいいとして、次の証言からこのお話は始まります。
話し手はG県T町在住、PNほたて丸(19、大学生)さん。
冠されたオカルトの文字は名ばかりの表は馴れ合い裏はドロドロ地獄サークル所属です。
ではどうぞ。

え?私?
そんな事どうでもいいじゃありませんか。





────あ?八日前?
何、キミもあんなのに興味有る?え?
ああ、確かにここ最近TVなんかでしょっちゅう紹介されてるからな、知ってて当たり前か。
うんそう、県境の首貫峠。
確か”上人様の見晴台”とかつって云ってたっけ?何か平らな場所。
あの日も俺とサークルの連中で行ってたわ。
最近の噂の盛り上がりで一般の連中が親子連れとかツアー客とか一杯居てさ、
しかもテキ屋とかマスコミのカメラまで沸いて出てきてやんの。もうお祭り状態!バカw
なんつーか、流行に乗せられる連中?笑えるwww
まあ大部分はオレの責任なんだけどw
ん?ああ、アレよ。掲示板に書き込んでたら勝手に盛り上がっちゃってさ。
ちゃんと現地にスネークして中継まで始める奴居たろ?アレ俺。そう。オレオレ。
まあ一緒に居た彼女の露出写画像にクレクレが群がってたのもあるけどwwwww

んでまあ、その日は結構遅くなったけど、出たわ。晩の八時ごろ?
火の玉。
そうそう。ソレソレ。
怪光現象とかUFOとか云ってるのも居るけど、まあハッキリしてなかったしな。
それが杉林の谷の合間をこう、スイッ、スイッっと動いてくの。
んでタマに分裂したり合体したり、何十個も飛び回ることもザラだけど、その日は三つ。
まあ集まった皆、その光景見てはしゃいでたな。
アレだよあの、そーそータマちゃん?あーゆーの扱い。そ、珍獣扱い。

んでその日もあんま代わり映えしないんで、それじゃーって特攻することにしたのよ。
ああ、あの辺り山ばっかっしょ?しかも県境とはいえ林道一本しかマトモな道無いし。
火の玉うろついてるトコに行くにゃ獣道漕ぐしかないワケ。
んでジャンケンキメてあっきーと一緒に行く事になって。
あっきー?元カノ。今便器。つか昔っから。あ?あーもお前にゃまだ早えーよ。聞くな。

んでさ、適当な獣道入って結構下って、下の方まで降りたんだけど、
収穫ナシ。つかどっか消えた。
谷の底にゃ小川?沢?みたいなの有ったんだけど、そこで暫く座ってた。
そしたらあっきーが寄ってきて…………
あ、まあアレだ。とてもとてもおかしなナニをイタしてスッキリサワヤカしてたワケだ。
黙らっしゃい。詳細聞くな。

そしたら。
出た。
いきなり目の前の杉林がバッと光って、何事かと思ったら、
光の中から何か出てきてんの。
えーと背丈?3、4m?くらい?体重?知るか!
何か動きはこうロボットダンスみたいにカクカク、頭が開いたシイタケみたいになってて、
そこに目が二つ。でっかいの。
そいつらが杉林から出てきて、目の前の沢の岸まで出てきて、
────こう。そそ、長い両手を前に出して。指先だけビロビロ動かして。
宇宙人?

んで手が目の前まで伸びてきた瞬間、あっきーが絶叫上げて逃げ出して。
俺もズボンずり上げながら慌てて逃げ出してきたわ。もうビビったビビった。
あっきーなんてパンツとブラと上着放り出したまんま獣道駆け上がってさ。俺より早く。
やっぱあいついかんわ。あ?
いーんだよ!大自然に抱かれたらズボンもパンツも脱ぎたくなるんだよ!流行なんだよ!

まあその時は二人で皆に合流した時点で光も変なのも消えたんだけどな。
とりあえずヤバいってんでソコで切り上げて帰ったんだけど、
ん。ホントにヤバいのはココから。


記憶がねーんだわ。帰ってる間。
正確にゃアパートの戸を閉める瞬間まで、かね。
道中の事何も覚えてないの。車のキーは持ってるし、何故だか腹が異常に空いてた。
でも、帰りもサークル連中乗せてった筈なのに何時別れたか覚えてないし。
後で聞いたら、皆いつの間にか家に付いてたって云ってたな。
俺の車は何でか違う奴の駐車場に停めてあってエラい怒られたけど。

で、皆の状態確認してからふと見ると、着信が一杯。
全部あっきーから。
何でか、あっきーの確認だけ忘れててんだなこれが。
で、こんだけ幾つも掛かってたら絶対何かあったと思うだろ?速攻掛けなおしたよ。
三回コールして出たと思ったら黙りこくってて、しかもよく聞いたらすすり泣いてる。
ヤベーよ。
絶対ヤベーよ。
もうね、頭の中で貞子がコンニチワ中。ホラー。
『  …………キてる……  ……何かきてる…………うゥ…… ……  』
ヤバすぎ。SAN値ゼロ寸前。それでも責任持って勇気出して何事だって聞いてみたら、








「上着とブラとパンツがちゃんとクリーニングされて届いてる……!』

どんな宇宙人だよ!!







さて、先のホタテ丸さんの証言から皆様は何をお考えになったでしょうか?

何らかのとってもイケナイエロスなおくすり使用による幻覚?
自身の売名行為のために無理矢理サムいオツムからヒネり出した妄想?
それとも、モノホンの宇宙人?





まあ、どれでも私にとっては余り変わりないんですけれど。


さてお次は都内の某弱小出版社にお勤めの、HN勇薙紅耶(28)さん。
『いさなぎ・べにや』と読むそうです。
あたまわるそうですね?ベニヤって所が特に。

さて、この勇薙ことベニヤ板さんが数日前ブログに書いた内容のコピペになるのですが
名前に負けず劣らずあたまわるい内容でして。

炎上しました。
ついさっき。

しかも今もナパームまがいの燃料が投下されて延焼中です。
おかじーさんアホです。
アホすぎます。
一言謝って引き下がればいいのにそれができないのはゆとり教育の弊害です。
だからエロゲオタなんです。
まあ以上の事を踏まえまして、イタい部分を生暖かい視線で切除しながらご覧下さい。











あ、本名云っちゃった。







お晩でございます紅耶です。


ちょっと皆さん聞いてくださいよ。
俺の勤め先で急遽社内旅行の話が持ち上がったんですよ。
うちで連載してる某先生がお金出して皆で行こうって事になったんですよ。
行き先は中国ってんでおいおいメシ食えねーよとか云いながらwktk待ちしてたんですよ。
そしたら出発の二日前に編集長が、

「お前留守番な」

とか云うんですよ。
なんでやねんとツっこんでみたら、

「おとというちの作家数人分の来月号原稿がネットに流出したのが見つかった。
 よくよく見たら全部お前の担当分だ。お前何やったの?」

とか抜かすんですよ。
で皆して会社の俺のPC弄り始めて、ウィニーからウィルス発見されたんですよ。
はいそうです。
つこうたです。
仁義無きキンタマです。
んで、その流出分はどうしようもないからそのまま掲載に相成ったんですが。
なのに編集長は、

「やっぱお前留守番な、留守中HDD掃除しろよ」

とか抜かして、本当に置いて行きやがったんですよ。
外道ですよ。
人外ですよ。
差別ですよ。
俺だって行きたかったですよ。なのにあのアブラギッシュデブファックユーですよ。





というわけで今私会社のPCから性懲りも無くカキコしてます。
誰も居ないって天国ですネー♪

ちなみに留守番は俺とあと派遣事務の小坂ってのが一緒です。
言動の怪しいスイーツ(笑)系で、野球でいくと余裕でボールです。デッドボールです。
ちなみに前書いた投稿作家の姐さんは担当と中国行っちゃいました。
死ねやクソ。


で、現在会社は開店休業中なんですが
何故か中国に連れてって貰えなかった弱小作家連中がわらわらとやって来まして。
どーも記事流出にかこつけて穴埋め代原狙ってきたようで。
ハイエナかよお前ら。
とりあえず、そのハイエナ共を列挙。

本栖冬彦。
何か妖怪に詳しい人。っても昨今流行の日本妖怪だけじゃなくて
ファンタジー系の妖精とか悪魔とか?そのへんにも詳しい人らしい。
あのね、民俗学だか何だか知らないけどもう少し面白い記事書け。むつかしいわ。

東夢坐。
某怪奇小説の大家と少年漫画に触発されて小説家になったとかいうヤツ。
文体薀蓄そのまんま。難しい漢字と言葉遊びを駆使した妙な推理小説を書いて来る。
でも書いてる内容は中二邪気眼ファンタジー(笑)。

明日香ナスカ。
電波系漫画家。最近UMA好き。MMRのフリをしようとして失敗してる人。
絵がヘタ。いっぺん週刊漫画雑誌へ行って修行してこい!ワンパターンにも程がある。
あれ?確か挫折して流れてきたんだっけ?ww

森ひろし。
昔一世を風靡したオカルト漫画の編集者ですな。
最近勤めてた出版社のゴタゴタでフリーというかおん出されて、うちに就職活動中。
でもネタがねー、古くてねー、90年代で止まってるしー。時代はスピリチュアルだしィー。

矢来淳二。
むかーしむかし、世紀末と呼ばれた時代、UFOで一世を風靡した人。
今じゃ宇宙人だの何だのはすっかり廃れて貯金を食いつぶして生きておられる。
おじいちゃん、メン・イン・ブラックより年金ブラックの心配しようよ(爆)




まあぶっちゃけ負け組みの集まりですわ。
どっちにしろ流出原稿そのまま載せるのは決定事項だし、体よくお断りしてましたわ。
人によっちゃクサいし。

そしたらその内、いつのまにやら応接室に集まってダベるようになっちゃって。
しかもそのダベりの中で何やら妙な計画を持ち上げたようで。
俺にも一枚噛めと。

知ってる人は知ってると思うけど、最近怪光事件が流行ってるそうで。
何か、最初G県のド田舎で起こったのが日本のあちこちで起こり始めてるそうで。
彼等が云うには、目撃証言を時系列に並べると何とその怪光が移動してるのが解るとか。
ホントかな〜?www


まあテキトーにクサして寝ますわ。
ではでは。











P.S.

派遣の小坂が姐さんからの預かり物に手焼いてるとか愚痴ってきます。

チーコちゃんて云う小学四年生なんだけど、
その辺のガキと違って無表情。何考えてるかわかんない。
友達は居るようだけどなんつーかアレデスネ、愛想が無くてムカツククソガキデスネ。
更に外出するたび妙なガラクタ拾ってきてお泊り部屋に並べてるとか。
一体何がしたいのやら。


結論:やっぱりょぅι゛ょは二次元だNE!









さてお次はおかしな連中の座談会。

どんな連中かと云いますと、先のベニヤ板の話に出てきた作家の方々です。
ベニヤは何かと小馬鹿にしてコキ下ろしまくってましたけども、大体合ってます。
単にベニヤも同類である事に気付いてないんです。

まあ、傍から見てる分には面白い方々なんですが。

とりあえずオカルト方面にはめっぽう詳しい方々なんで、
彼等の言葉織り成す思考の綾に絡め取られそうになった時は迷わず読み飛ばし推奨。

────八割方オカルトでもなんでもない雑談ですけど。
さすが脇道人生、会話の脇道もハンパではありません。






え?どうやって聞いたのかって?
別にいいじゃありませんかそんな事?





(ガチャ)

東「お久しぶりです」
本栖「お、久しぶり。何か進展あった?」
東「また突っぱねですよ。理由も編集長が判断するからの一点張り。芸無いっスねー彼」
本栖「キビシーなオイ。今は?外」
東「今は誰も居ないかと……ああ、入ってきましたね」
本栖「明日香か」
東「間違いないっス」
本栖「あの不快指数を倍率さらに倍にしてくる奇声は彼しかおらんわなぁ」
東「ついでにスーパーひとし君も付けてやってください」
本栖「まあ茶でもかっくらって落ち着こうや。いるか?緑と紅とどっちがいい?」
東「編集部を自分ち扱い!いーんですか勝手に使って、確か経費削減とか編集長……」
本栖「大丈夫、このティーバックは備品だ!」
東「…………何日モノですかソレ……」

(ガチャ)
(バタン)

明日香「は────い!もうくそー!!本栖茶────!!」
本栖「はいな」
東「ツーカーですか!」
明日香「んもー、あのクソ編集いかんわ。俺が三日三晩徹夜して創った企画書蹴って!」
東「割りに元気ですね、また肥えてません?」
明日香「不眠ハイに決まっとろるがな!ここで茶シバいて帰って寝たら即ミイラになるわ!
    まあお肌は毎日パックしてるからツヤツヤやけどな!フヒヒッ!!」
本栖「はい、紅茶」
明日香「……だけんコレ砂糖水やん」
本栖「それが何か?」
明日香「……もええわ」

東「そういえば明日香サン、今回どんな企画持ち込んだんです?」
明日香「ん?んん?んん〜んん持ち込み始めの新人には教えられへんなぁー」
東「……俺もう持ち込み暦二年になるんスけど」
明日香「あ、そうなん?んー、じゃあ、ちょいと頼み聞いてくれたら教えたってもええで」
東「何です?」
明日香「紅茶作って、二杯目」
東「あ?え!?あーと、はい分かりましたお待ちを……」
明日香「────何や本栖、反応せえへんな」
本栖「何故です?」
明日香「いや、まあ別にええねんけど」

東「…………本栖先生、ティーバッグどこ置いたんですか?」
本栖「さあ?」
東「いや、一昨日二箱位あったでしょうに。見ましたよ僕?」
本栖「んー、んっふっふっふゥ〜ん?」
明日香「あー、あずちゃんええええ。ええからちょっとパシって紅茶買ってきて。金後で」
東「あ、えーと、分かりました。行って来ます」
本栖「帰り道に気をつけてね」
東「は?」
明日香「いやええから。はよ行って来」
東「はい」

(ガチャ)
(バタン)

明日香「何や、お前にとって何がそこまで出がらし茶に拘らせるんや……!」
本栖「じゃあちゃんとした濃ゆい紅茶の代わりに、教えてください」
明日香「何や?」
本栖「何の企画、持ち込んだんです?」
明日香「────なんやそれ、それが理由かい。茶の濃さが人質かいな」
本栖「いえ別に?この要求はまあ、瓢箪から独楽みたいなもんで」
明日香「まあええわ、馴染みやし教えちゃる。
     ────────あのな、最近新聞見とるか?」
本栖「ええまあ。二誌取ってますし」
明日香「このネットのご時世に殊勝なやっちゃ。じゃあ、毎日読んでて気付いた事は?
    大事件とか編集の動きとかそんなんでなくて」
本栖「というと?」
明日香「あーなんつうかな、新聞社も気付いて無いような。そんな記事の傾向やな」
本栖「……いえ、特には」
明日香「んーそうか。書痴のあんたなら気付くかと思ってたんやけどな。
    ぶっちゃけるとな、アレや。
    G県のホレ、第四種接近遭遇事件」

本栖「……首貫峠のUFO、というか怪火の話ですか?」
明日香「せや」
本栖「でもあれ、単に怪しい発光体が谷間を舞っているってだけの話でしょう?
   ”第四種接近遭遇”つまりUFO搭乗員と遭遇者の交流やUFO搭乗は────」
明日香「あったんや」
本栖「ほほう」
明日香「ネット中で噂になっとる。
    野エロ中のアベックが怪物に遭遇、その帰り道で時間消失が起こっとったそうや。
    典型的な遭遇事件やな」
本栖「でもマスコミには露出してませんが?」
明日香「噂だけやからな。誰かが証言者を隠しとるのかも知れん」
本栖「成る程。で、それと新聞の内容に何の関係が?」
明日香「────他所でも起こっとる可能性がある」
本栖「ほっほう?それはそれは何故また?」
明日香「三面記事にひっそり載ってたりすることが多いんやけど、最近怪火が頻発しとる。
    しかも驚くべき事にな、それらの最初はG県の件や。
    その目撃場所が日を追う毎に少しづつ、この東京に接近してきよるのや」

本栖「…………それはまた興味深い話ですね」
明日香「何や、意外と楽しそうやな?てっきりあんたの小説の妖怪みたく
    ”この世に不思議など────”とか諭されるもんかと」
本栖「私だって空気ぐらい読みますよ。それにそういう怪しい噂話こそ私の専門です」
明日香「バケモンはいつでも人の頭と口から生まれるけんな」
本栖「否、それだけじゃないんですが────おや?」

(キイ)

明日香「どしたん?」
本栖「今入ってきたの、矢来サンですね」
明日香「何で分かるんや」
本栖「今時重くて分厚いファイルがちゃがちゃ云わせて来るの、矢来サンだけですよ」
明日香「なんやどっかのヤク中探偵みたいな事云うのー。
    にしても淳サンももうじいさまやろうに、引退とか隠居とかせんのかね?
    昔の稼ぎと年金じゃ食ってけんのやろか?」
本栖「蓄えはとうに尽きたとか云ってましたね確か。
   TVの仕事無くなってから息子娘夫婦に親類にも縁切られて、今一人身とか」
明日香「…………人生、一寸先は闇やな」
本栖「我々の末路ですかね」
明日香「怖い事言うなや!」


本栖「────と、あー……、ああー」
明日香「うわ」
本栖「全く、えらい剣幕で」
明日香「あのボケメガネはあかんのー」


(ガチャ)

矢来「…………おお、お二人ともこんにちは。良いお日柄で」
本栖「おおっと危ない、ファイルお持ちしましょうか?」
矢来「いえいえいいですよ、ええと、ココ空いてます?」
明日香「うんえーよえーよ、はよ座りいな矢来サン疲れとンのやろ?」
矢来「ああ、イヤハヤ申し訳ない。よっ…………────ッッツ、あぁ、ふう」

本栖「さ、お茶でも」
明日香「だけん……」
矢来「糖分は脳細胞の栄養ですね。ありがとうございます」
明日香「……文句云うてんの俺だけかいな」
矢来「大丈夫、貴方の諦めが悪いだけですよ」
明日香「……さよか」

本栖「あ、あの居残り編集さん出て行きましたね」
明日香「ちょうど昼飯時やからな。てゆーかええんか留守番?」
矢来「派遣の小坂さんに任せたんじゃないですか?さっき昼ごはんに出てきましたけど」
明日香「ダメやん」
本栖「ダメでしょ」
矢来「ダメですね」
明日香「おおー意見が一致したがな。共時性の幻象かいな?」
本栖「そういや東君遅いねえ?どうしたのかな?いつまでもお茶が薄いままだよ!」
明日香「……」

矢来「どうしました?何か宇宙人にインプラントされましたか?」
明日香「……心配はあずちゃんにしたってくれへんか、っと?お?あずちゃん?」

東『すいませーん、明日香サン紅茶だけで良かったです?
  お昼も買ってきましょうか?今俺マックの前なんですけど』
明日香「あー気ィ回さんでも構わんのに。
    ええわ、込んで無いなら何か適当に……ちょ!なんすんねん本栖!こら!?」
本栖「明日香サンにはマックのメガてりたまセットにナゲットマスタードにコーラ、
   矢来センセにはモスのスパイシーリブのオニポテセットにウーロン、
   私は吉牛の牛丼並盛つゆだくギョクに紅しょうがを大量投入でお願いします」
東『あ、矢来先生も居られる?編集さんの分はいらないんですか?
  てゆーか吉牛持ち帰りで紅しょうが大量ってでk』
本栖「君の才覚に健闘を祈る。ではプチ」

明日香「外道や!外道がおる!!」
矢来「私油モノはちょっと……」
本栖「まあまあ茶でもシバきながら待ちましょう!あ、矢来センセファイル見てもよろし?」
明日香「うわゴマかした」
矢来「ああ、いいですよ?どうせボツ喰らった分ですから」


本栖「……ふうむ、コレは……」
明日香「どしたんな」
本栖「コレの在日米軍の証言って、出所は?」
矢来「そこはまあ企業秘密ってヤツですね。一応信用できる人物、と云っておきましょう」
明日香「なんや、何事やねん」

本栖「────”在日米軍による、宇宙人との共同機密作戦”────」
明日香「ほへ?ちょい見してみ」
本栖「よく情報これだけ集めましたねセンセ、明日香サンより余程詳しい」
明日香「ほっとけ! ……って、俺のと関係あんのん?」
矢来「おや、貴方も調べてたんですか?首貫峠の件の怪光」
明日香「センセも?」

本栖「────つまりコレは、
   新世紀に入って行われた宇宙人との密約を元に、
   日本国内での宇宙人による誘拐・家畜略取・インプラント等諸々の活動を
   在日米軍が支援している、ということですか?」
矢来「うん、そういうことだね」
明日香「おおー、ブラック・ヘリにメン・イン・ブラックも出現!ブラッキーども大活躍!
    ブラック・ドッグとかブラック・ハートとかは出えへんのん?」
矢来「うん、出てないね今の所」
明日香「いやん、ボケ通じてへん……」
本栖「分りにくすぎです」

本栖「ふむ、情報源の信用度は兎も角、興味深い話です。
   そういえば最近低空飛行する謎の航空機も話題になってましたよね?」
矢来「うん、アレも関係があるのではと睨んでるよ。
   もしかしたら最近頻発してるケム・トレイルなんかも絡んでくるかもしれない」
明日香「在日米軍なー、盲点やったわー」
本栖「……で、この結論ですけどインタビュー相手が主張してたんですか?」
矢来「そうだよ。横須賀基地周辺で結構広がってるらしい。
   米兵や基地職員はもとより、スナックのおばちゃんまで知ってたしね」
本栖「ふむ────」

明日香「何かまた変な事考えとるな?」
本栖「いーえ?……ん?」

(キイ)

(パタパタバタバタ)
(ガチャ)

森「皆さんなにやってるんすかーこんな所で!?
  戸が開いてるのに誰も居ないから空き巣でもしちゃおうかと思っちゃったよ!」
明日香「あ、モリリンおは」
矢来「こんにちはモリリン」
本栖「モリリンさん良いお日柄で、お茶でもどうです?」
森「 や め て 」

明日香「モリリンも持ち込み?残念ながらクソメガネ出払っとるで」
矢来「こらこら、仮にも持ち込み先の人をクソメガネなどと……ねえモリリンさん?」
本栖「で、今回どんなの持ってきたんですかモリリン?」
森「だからモリリン や め て 
  ほら、原稿ならいくらでも読ませてあげるからッ!それ以上呼ばないでッ!!」
明日香「何かツンデレがおるぞ」
森「違うわ!とっとと読め!」


本栖「…………」

明日香「………………」

矢来「……………………」


森「……何?」

明日香「……モリリンおまえもか」
矢来「これは──……」
本栖「……興味深い。モリリンどこからこの話を?」
森「だからモリリンやめれ」


本栖「────”誘拐都市伝説と宇宙人の謎”、ですか」
森「最近小中学生のウワサになってたんで、それでネタにしてみたワケで」
明日香「ふム、小中学生の誘拐な。
    モリリンが誘拐したんと違うんかなー?ムフッ」
森「俺はロケットおっぱい派だ!情報源はモバゲタウンからだよ!」
明日香「ますますアヤシイがな」
矢来「僕は最近の中高生の事情には疎いんだけど、昔から無い?こいういうの」
森「え?ああ。
  確かに”子取りババア”とか”バクベア”みたいな子供を脅す妖怪とかあるけど、
  今回のは違うな。
  妙に具体的なんだよ。日時とか場所とか、召還方法とかも」
明日香「召還?」
森「ベントラーベントラーみたいなもんだよ。
  コックリさんとかエンジェルさん、にも似てるかな?
  つまり得体の知れない何かを呼び出す方法だ。
  只使うのが特別に設えた電子機器で、それである種の信号を放つ必要がある。
  通じれば真夜中に火の玉が近くに飛来してきて、宇宙人が徘徊し始める。
  それに出会えれば宇宙船に乗せてくれるんだけど、
  放っといたり出会うのに時間が掛かると、別の人間をさらって行くと云うんだ、コレが。
  何やら口コミでその電子機器と召還方法の詳細とセットで販売する、
  なんてアコギな商売も広がってたらしいな。
  その業者自体はすぐ消えたそうだけど」

本栖「実際にさらわれた人間が?」
森「ああ、確認した。既に6人行方不明、戻ってきたのが三人」
矢来「コンタクティですか」
森「えらく精神をやられてたけどね。男女年齢に共通項は無かったよ」
明日香「実害アリかいな」
森「ああ。昔あったよね、
  夜の日本海海岸で懐中電灯振ってると宇宙人にさらわれるっての。アレ思い出した。
  そして俺は宇宙人の正体についても見当は付いた。
  そう、これらの噂は実は首貫峠の怪火事件以降広まっている。
  噂の拡散地域なんかも考慮すれば判明する事は一つ!そう────」
  



明日香「これで三人か……」

森「────ちょっと、話のコシ折らんでくれよ何?」
矢来「……いえね、実は私と────」



本栖「四人ですよ」


明日香「は!?」
矢来「!?」
森「え?ええ??」
本栖「私が持ち込んだのが何か、まだ云ってませんでしたよね?
   私のはCD−Rですからちょっと外でPC拝借しましょうか」


明日香「こりゃあ……」
矢来「────”首貫峠・上人様の見晴台説話の考察”」
森「え、え?じゃあ皆コレを?」
本栖「いえ、皆自分の得意分野で自分なりに考察してましたから微妙に違います。
   四者四様、でも大本になるネタは共通していますね」
矢来「”共時性”────」
明日香「まさか、東も?」
本栖「帰ったら聞いてみましょうか。
   兎も角この首貫峠の宇宙人についての情報を付き合わせると────」
森「と?」



本栖「昔、えらいお坊さんが宇宙人らしきモノに首貫峠の土地を寄進し棲まわせ、」
明日香「それが最近その峠を出て関東周辺を徘徊し始め、」
矢来「更に在日米軍とも密約を結んで支援を取り付け活動し、」
森「妙な機械を使って頻繁に人をさらい、それが小中学生のウワサになっている──」




明日香「ナナンダッテー禁止な」
森「……そんなヒドい……」
本栖「面白そうじゃないですか。あの編集さん聞いてて気づかなかったんですかね?」
矢来「独自性を重んずるあまり目が眩んだんでしょうか」

本栖「────”共時性”とやらに従ってみましょう。
   どうです、協力してみません?」
森「協力?」
本栖「元々皆さん、鬼の居ぬ間の代原狙って来てたんでしょ?
   ここはいっそ力を合わせて、あの編集すら見返せるほどのネタにするんです」
明日香「成る程……専門を超えた共闘か」
森「面白そうですな、乗った」
矢来「ええ、構いませんよ」
本栖「よろしい。東君には後で伝えるとして、当面の目標は────」


矢来「宇宙人の捕獲ですか」
本栖「え?」
明日香「せやな!丁度知り合いからクリッターでも捕獲できるっちゅう
    プラズマ光子隔壁捕獲機を米国のUFO問題調査研究会から購入したところや!
    早速使えるでぇ!イエー!!」
本栖「いやちょっと」
矢来「早急に保存用の棺と液体窒素を手配しましょう。検死する医者も必要ですね。
   否、冷蔵庫のほうがいいかな?しかし半端な温度だと劣化の危険がありますが」
本栖「だから」
森「早急すぎますよ、二人とも」
本栖「そうそうそうそう」
森「先ずはテクノロジーの源泉である円盤の鹵獲を優先すべきでしょうに。
  その為には航空自衛隊の協力が必須、丁度自分の人脈に空幕関係者が……」
本栖「いやだからアノネ!?」
明日香「なんやねんさっきから」
本栖「物証確保優先は分りますけどもっとこう簡単そうなのから!
   例えば映像とか!写真とか!そうでなくてももっと証言集めて」
矢来「でも、編集の彼コラ使いですよ?そんな加工可能な物証で納得しますか?」
森「ここの雑誌のスクープ写真の95%はあのクソメガネ謹製ですしね。
  証言なんぞちり紙程度なんてのはマスコミ編集が一番良く知ってる事実だな!」
明日香「重みが違うなオイ」

本栖「え──〜〜……とですね、アレですよ」
明日香「なんやねんなー、何がいかんのや!?」
本栖「そう、いきなり捕獲とか、乗り物鹵獲とか、
   安易なゲットだぜ行為は宇宙人に敵対行為だと取られかねないのでは?」
明日香「!」
矢来「!!」
森「!!?」
本栖「いきなり危害を加えるなんて野蛮すぎるでしょう。
   ましてや相手はこの地球にまで飛来できる程の科学力を保有する宇宙人、
   ヘタに手を出して怒らせたらどうなるか分りませんよ?
   それにもし米軍と安全保障条約でも結ばれてたら?報復必須ですよ?
   それじゃ編集を見返すどころの話じゃ無くなります!」
明日香「……ま、確かに」
矢来「そうですね」
森「でも、写真じゃあのメガネ納得しないだろ?どうすんだ」


本栖「それは……」
明日香「それは?」

本栖「そうですね…………」
矢来「そうですね?」

本栖「なんといいますか………………」
森「代案ナシか?俺らだけでもヤルぞ?」


本栖「う、宇宙人と、……────あ、ぁあくしゅ」
森「握手?」
本栖「え──〜〜そう!握手!友好!宇宙人と仲良くなって、証拠のお土産をもらう!
   何だったらいっそあの編集君を呼び出して宇宙人と会わせる!
   んで握手!!
   そして記念写真とか撮る!
   どうですかコレで!?」

矢来「……つまり、編集の彼をコンタクティにしてしまおう、と」
本栖「そゆことです」
明日香「目からウロコが滝のように落ちたわ」
本栖「ありがとうございます」
森「はぁ〜〜〜……、ま、いいや。ソレでいい。ソレで行こう」
本栖「では、決定で」

(キイ)
(ガチャ)

東「ギャ────!?いや──増えとる────!!?」
明日香「あ、あずちゃんお帰り」
東「森さんゴメンなさい森さん来てるの知らなくてお昼ご飯買ってきてませんよー!?」
森「いや、俺は別に」
本栖「森サンはポプラの三色とりカツてりそぼろ弁当大盛りにみかんゼリーだ!じゃ」
東「この辺ポプラ有りませんよ!」
本栖「大丈夫、二駅向こうにあった、はず、ヨ?5年前に」
明日香「サドや!サドがおる!!」
森「だから俺もう昼喰ってるって!」
矢来「ああ、そういえばおなか空いてたの忘れてましたね」
チーコ「あい」
明日香「うわ誰やこのょぅι゛ょ!」
小阪「あたしが連れてきましたチーコちゃんです。家に置いとくのなんだし。
   てかずっと編集部に居ましたけど文句あります?」
矢来「いえありません?」
森「…………'`ァ'`ァ」
明日香「'`ァ'`ァすんな!」
東「小坂さん帰る途中で出会ったんですよ!ソレより皆さんTV見てないの!?」
本栖「いえ、何か?」
東「早くつけて!えーと確か4chだっけ、早く早く!!!」






本栖「……」
矢来「………」
森「………………」
東「…………………」
小阪「…………………」
明日香「…………………マジかい」
チーコ「あい」




(キイ)
(バタン)

おかじー「何やってんだあんたら?」













この時、歴史は動いた。






いえ動いてません。ウソです。冗談です。云ってみたかっただけです。追求しないで。

ただこの時おバカ一同が見たTV番組の映像は彼らを落胆させると同時に、
奮起させある行動を起こさせるには十分なシロモノでした。


ヤバかったんです。
いろんな意味で。

内容はお昼のオバちゃん連中に大人気な司会者がやってる人気番組の、
司会者が人生相談をしながら説教するという類稀なる1コーナーの裏でした。
夏休みとはいえ真昼間からアンビリバボな怪談番組を放送したこの局には敬意を表したい。
何も出ないけど。
とにかくその中の1コーナー、素人投稿映像の中の一つ。
UFOを撮影したとかいう映像でした。
Youtubeに上がってたのでどうぞ。










ところでUFOってひらがな入力するとマジヤバイですよね。






ナレーター:これは先日、都内某所で撮影された映像である。
       映像上方、ビル群上空をご覧いただきたい。




ナレーター:お分かり頂けるであろうか。
       ちなみにこの周辺、当時は航空機等は一切飛行しておらず
       そういった類の物体であるとは考えられないのである。
       それでは、アップで見てみよう。




ナレーター:ご覧の通り、この光は真円ではない。
       通常のライト等の光源とは考えられないのである。
       我々はこの映像について、映像分析の第一人者である
       日本映像解析技術研究所所長、高田甲太郎氏に分析を依頼した。




高田:『えーコレ、これですね
    映像の陰影を強調してみますと、このように多数の影が映っています』
    
ナレーター:光の表面には何かしら幾何学的な構造物らしきものが映っている。
       まるで人工の機械ようにも見えるだろう。更に、

高田:『ここですね、内部の物体が映っています
    電球みたいに表面が半透明で、光源は内部にあるんではないでしょうか』




ナレーター:お分かり頂けるであろうか。
       映っている内部の物体は、明らかに人型をしているのである。
       映っているのは二人。この物体の搭乗員とは考えられないだろうか。

ナレーター:だが、真の衝撃映像はここからであった。




ナレーター:この物体はビル群の向こう側に消え、撮影者は必死で追いかける。
       しかしこの時、同時に多数の目撃者が居た事により
       現場は一時パニック状態となっていた。

ナレーター:物体を完全に見失い、さらに撮影者は人込みに飲まれてしまう。
       あえなく転倒。しかしこの時、




ナレーター:お分かり頂けたであろうか。
       もう一度。




ナレーター:スローにして、もう一度。




ナレーター:問題の部分を拡大して、もう一度。




ナレーター:分からなかった方の為に、もう一度。





ナレーター:この異様な顔のようなものは一体何であろうか?
       撮影者は当時気が付かず、再生してみて初めて気づいたという。
       この部分について、高田氏はこう分析する。


高田:『ここですね、現れてたのは約一秒強ですね
    この時移動する光源がありまして、問題の顔の陰影が動いてます
    少なくとも偶然の錯覚や平面の絵などでは無いのは、確かだと思いますね』





ナレーター:突然のUFO騒ぎ、そしてその中で現れた謎の顔。
       この後周辺ではUFOもこの奇妙な顔も発見される事は無かった。
       実は、この辺りでは少し前から怪光の噂が飛び交っていたという。
       
ナレーター:果たしてあの怪光はUFOだったのだろうか?
       そしてこの奇妙な顔は騒乱を眺めていた宇宙人の顔だったのだろうか?
       謎は、深まるばかりである。






お笑い芸人:いやぁ……コレってマj)







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